【サクッと読める短編集】
397冊目
#今村夏子 さん
満足度 ★★★★
読みやすさ ★★★★
ワーホリで新しい仕事を始めて、最近はバタバタ😓
投稿が遅れてしまいました🙇♀️
——内容をザクっと——
父親の友人から譲り受けた、あひるの「のりたま」。のりたまが家に来てから、静かだった家に子どもたちが遊びに来るようになり、少しずつ賑やかになっていく。 しかし、ある日病院から帰ってきたのりたまは、以前より小さくなっていて……。
最近、今村夏子さんの世界観の虜になってしまった。
最初に読んだ 時は「なんだか苦手かも…」と思ったのに、不思議とまた読みたくなってしまう。
平穏な日常の中に、少しずつ混ざっていく違和感。何かが確実におかしいのに、登場人物たちはそれを大きく問題にしない。 その静かな狂気のような空気が、読んでいてゾワっとしてしまう。
ここからはネタバレを含みます↓
主人公の「私」の家にやってきた、あひるの「のりたま」。 のりたまのおかげで、静かだった家に子どもたちが集まり、だんだん賑やかになっていく。
しかし、具合が悪くなり病院に連れて行かれたのりたまが帰ってきたとき、主人公は「別のあひるに入れ替わっている」ことに気づく。 けれど、周りの人たちは誰一人その変化に気づいていない様子で、そのまま“のりたま”として受け入れられていく……。 この感覚が、なんとも言えず怖い。
違和感に気づいているのに、誰もそれを指摘しない。
そのまま物事が進んでいく感じが、読んでいて不気味でした。
「おばあちゃんの家」と「森の兄弟」は連作になっていて、物語がつながっているのも面白かった。
認知症なのかと思いきや、どんどん元気になっていくおばあちゃん。 家族の都合で、誕生日でもない日に誕生日会を開かれるおばあちゃん。 一見ちょっとおかしな出来事が、淡々とした日常の中で進んでいくのが今村夏子さんらしいなと思った。
読み終わったあとも、
「あれってどうい うことだったんだろう?」
と、考えてしまう不思議な読後感。
やっぱりこの独特な世界観、癖になりそう。
気になる人はぜひチェックしてみてください✨
私もこの『あひる』の短編集を読んだ際、まず感じたのは、どこか現実の隣に小さなズレが生じているような不思議な感覚でした。主人公の家にやってきたのりたまというあひるが、病院から戻った後に入れ替わっていることに気づくというシーンは、実生活ではあまり体験できない不安感や孤独感を巧みに表現しています。 特に、周囲の人がその変化に気づかずに受け入れてしまう描写は、認知症の家族を持つ方の心情に重ね合わせることもでき、日常の中に潜む「小さな異変」を静かに見つめる視点が印象的でした。私自身も家族の体調の変化を感じ取りながらも、周囲に指摘されないまま進むことの怖さを思い出し、共感が深まりました。 また、「おばあちゃんの家」や「森の兄弟」という連作では、一見ほのぼのとした設定の中に微妙な違和感が忍び込み、読者の心にずっしりとした余韻を残します。誕生日でない日に誕生日会が開かれるシーンや、元気になるおばあちゃんの不思議な展開は、淡々とした語り口でありながら情感豊かで、多様な解釈を可能にする奥深さがありました。 この短編集は、サクッと読める一方で、その静かな狂気が徐々に心の中で重くのしかかってくる不思議な体験をさせてくれます。読了後に「あの出来事は何を意味していたのだろう?」と何度も考えさせられる作品でした。興味がある方は是非手に取って、その独特な世界に浸ってみてください。


