スタジアムに4万人入ったとき、スマホの電波がどうなるか知っていますか。
本番10分前、カメラマンから「OK」が出る。スイッチャー担当からも「OK」が出る。それなのに、映像が来ない。エンコーダーのビットレートは断続的にゼロを指している。でも機材は壊れていない。電波も3本立っている。
何が起きているのか、その答えがわかったのは、「電波が足りない」のではなく「電波を取り合っている」という構造を理解したときでした。4万人収容のスタジアムに観客が入ると、スマートフォンだけで5万〜8万台が同じ基地局に集中する。通信速度は通常の10分の1以下に落ちる。
これは総務省の2022年度混雑測定でも実証されていることです。
そしてもう一つの気づきがありました。「複数の回線を束ねる」ボンディング技術は知っていた。でも「均等に分散する」だけでは、混雑した回線が足を引っ張って、全体のスループットは平均の60〜70%程度にしか達しないということ。
では、どうすれば「最良回線の合成性能」を引き出せるのか。
AIがリアルタイムで回線品質を予測し、混雑する前にトラフィックを切り替える。それがLIQ(LiveU IQ)という技術で実現されていました。しかも平均36%のビットレート向上という数値まで公表されている。
この技術の仕組みと、LiveU・Dejero・TVUという3社がボンディングにどんな設計思想を持ち、どの現場に向いているかを、ひとつひとつ丁寧に書きました。IPライブ中継の世界に立つすべてのプロに届けたいと思います。
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「電波3本なのに途切れ途切れ」「充電じゃなくて通信が不安定」みたいな状況、スタジアムやフェスだと本当に起きます。自分も現場でハマったのは、端末側の表示(アンテナ本数)と“実際に流せるデータ量”が別物だったことです。 まず、スマートフォンの仕組みとしてアンテナ表示は「基地局とつながっている強さ(受信レベル)」寄りの指標で、回線の“空き具合”までは表しません。満員の会場だと同じエリアの基地局に端末が一気にぶら下がり、上り(アップロード)も下り(ダウンロード)もIPネットワークトラフィックが混みます。結果、速度低下だけじゃなく、遅延やパケットロスが増えて映像のようなリアルタイム通信は一気に厳しくなります。ここで「充電が途切れ途切れ?」と勘違いされがちですが、バッテリーではなく“無線区間〜コア網が渋滞してる”のが本体験に近いです。 次に「回線を重ねる(複数SIM/複数キャリアを束ねる)」発想。ボンディングは確かに効くのですが、均等分散タイプだと、混雑している回線が足を引っ張ります。体感としては“速い回線が1本あっても、遅い回線にも同じ比率で流して詰まる”感じ。だから、単純に回線数を増やすだけでは、期待したほど伸びないことがあります。 そこで効いてくるのが、AIボンディング(LiveU IQ / LIQ)みたいに、回線品質を予測して「今、詰まりそうな回線には流さない」「最適チャネルに寄せる」制御です。均等に割るのではなく、リアルタイムに“使える回線の利用率”を上げるイメージ。満員のスタジアムは状況が秒単位で変わるので、固定設定よりAI最適化のメリットが出やすいと感じました。 補足で、Wi‑Fi運用を併用する人向けに。Wi‑Fi送信出力を下げるメリットは、むやみに遠くまで飛ばして干渉を増やさないこと(同一/隣接チャネルの競合が減る)と、近距離で安定した接続を作りやすいことです。ただし出力を下げすぎるとローミングや途切れの原因にもなるので、会場導線・AP配置・チャネル設計とセットで考えるのが安全です。 最後に切り分けのコツ。①同じ場所で複数端末/複数キャリアで速度テスト(上り重視)②時間帯で変動を見る(開演前後が最悪になりがち)③映像ならRTT/パケットロスも見る。こうやって“電波の強さ”ではなく“混雑と品質”を見にいくと、原因と対策(回線追加か、AI最適化か、Wi‑Fi設計か)が判断しやすくなります。


























