夜の根源層

文章

光が存在する前。

世界はすでにあった。

ただし、

形ではなく

「夜」として。

ここは

構造層のさらに深い領域。

だが岩も都市も

はっきりとは存在しない。

すべてが

夜に溶けている。

地形はある。

しかし輪郭が曖昧だ。

黒い大地が

静かに広がり、

その中に

ゆるやかな起伏として

古い構造の痕跡が残っている。

かつて都市だったもの。

かつて山だったもの。

かつて森だったもの。

それらは

完全な形を持たず、

夜の中に

記憶のように沈んでいる。

空はない。

上も下も

同じ暗さで満たされている。

だが暗闇は

空虚ではない。

密度を持っている。

重く、

静かに、

すべてを包み込む。

これが

原初の神、nyxの領域。

アザトースの夢想が

構造を歪めるのに対し、

nyxは

構造そのものを溶かす。

ここでは

境界が消える。

大地と空間、

存在と影、

形と記憶。

すべてが

ゆるやかに混ざり合う。

それでも

完全な無ではない。

プレイヤーたちは

この夜の中に存在している。

装甲兵は

黒い地形の輪郭を頼りに進み、

獣人種は

気配で距離を測り、

機械種族は

わずかな構造反応を検知し、

異形種は

この闇に溶けるように移動する。

戦いはある。

だが音は吸収される。

衝突も、

銃声も、

叫びも、

すべてが

夜に沈む。

そして

この領域の中心に近い場所。

ほとんど輪郭を持たない空間の中に

それは存在する。

巨大で、

しかし形を持たない存在。

星のような微細な光を

内側に無数に抱えた

深い夜そのもの。

nyx。

その近く。

わずかに浮かぶ

黒い地面の縁に

小さな黒猫がいる。

小さいが

はっきりと黒猫と分かる姿。

耳が立ち、

尾が静かに揺れている。

黒猫は

nyxを見ているのではない。

同じ「夜」を見ている。

この場所では

光は生まれていない。

だが

すべては

すでに存在している。

#アザトースの夢想

3/18 に編集しました