風の旅路と赤い影 - 第26話 : 炎の谷の目覚め
夜明けの風が、赤く焦げた谷を静かに撫でていた。 昨日まで荒れ狂っていた炎はようやく鎮まり、岩肌の隙間からは淡い蒸気が立ち上っている。 その中に、青い光がひとすじ、ゆらりと揺れた。 リラは剣を胸の前で抱え、深く息を吸った。 刃に残る風の気配が、まだ戦いの余韻を語っている。 肩の上でシルフが小さく鳴き、透明な翼を震わせた。 その羽ばたきが、谷の底へと青い風を送り込む。 「……静かすぎるね」 フィンが岩の上に跳び乗り、尻尾を立てた。 白黒の毛が朝の光を受けてきらりと光る。 白猫はリラの隣に座り、緑の瞳で谷の奥を
夕日と朝日、どちらが好き?