【ロイヤルコペンハーゲンのカップ修復】
約20年前から大切に使われてきた、ロイヤルコペンハーゲンのコーヒーカップ。
ご依頼主さまにとっては、毎朝のコーヒー時間をともに過ごしてきた思い出の器です。
ヒビが入ってしまったことでご相談をいただき、金継ぎでの修復をお預かりしました。
今回のリールでは、金を蒔く前の「べんがら漆」を描いている工程を撮影しています。
薄く繊細な磁器に合わせ、筆圧を調整しながら漆を細く引く。
漆を塗っては乾かし、磨き、形を整えていく工程を何度も繰り返すことで、
ヒビのラインは少しずつ整い、最終的に金を美しくのせられる下地が完成します。
金継ぎは、見た目を直すだけでなく「壊れた形を美しく整える」ための積み重ね。
器の薄さや質感を感じ取りながら、素材に寄り添うように進めていく職人の仕事です。
再びご依頼主さまの 手の中で、穏やかな時間をともに過ごせる日を思いながら。
金継ぎは単なる修理ではなく、器の歴史や思い出を繋ぐアートのようなものです。私自身も以前、大切にしていた木製の茶碗にヒビが入った時に金継ぎを依頼した経験があります。その過程を見ていると、べんがら漆を何度も塗り重ね、乾かしては磨く繊細な作業がどれほど根気のいるものであるかを実感しました。 特にロイヤルコペンハーゲンのような薄く繊細な磁器の修復は、筆圧や漆の塗り具合に細心の注意が必要で、職人の技量が光る部分です。金継ぎで使用されるべんがら漆は、金を乗せるための下地として重要な役割を果たし、美しい仕上がりを可能にしています。 また、金継ぎをするとヒビだけでなく、その修復跡自体が新たな美の要素となり、世界にたった一つの作品としての魅力も増します。壊れてしまった器をただ元に戻すのではなく、新しい命を吹き込む感覚です。 私の体験では、修復した器を使う度に過去の思い出が蘇り、毎日の食事やコーヒータ イムがより特別な時間に感じられました。これからも大切な器を金継ぎで修復し続けることで、暮らしに温かみと深みが生まれると強く感じています。















