眠れない夜の黒猫屋さん
眠れない夜だけ ひっそり開くお店があります 考えごとが止まらない夜 胸の奥がざらつく夜 そんなときだけ 気づく人がいる場所 看板はなくて 入口も目立たなくて ただ 窓の明かりだけが 小さく呼吸しています そっと扉を押すと 鈴は鳴らず 黒猫が こちらを見ました 「いらっしゃい 今夜は 少し冷えるね」 カウンターの上には 白い湯気と 小さなカップ それだけ 黒猫が コトコトと淹れてくれたのは 琥珀色の あたたかいお茶 ひと口飲むと 胸の奥のざらざらが 砂みたいに ほどけていきます 黒猫は 満足そうに喉を鳴