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芦辺拓「名探偵は誰だ」
亡くなった夫の意思を受け継ぎ、ホテル経営の裏側で、世界各国で圧政や弾圧に抵抗する人々を支援する曾祖母。 今また、クーデターで成立した軍事政権に狙われるカスカジア人活動家、フェン・チ・アルタンギをかくまおうとしていた。 しかし、そんな矢先曾祖母は急な発作に倒れホテルを離れて入院することに。 悪いことにそんな彼女と入れ違いに、軍事政権の送った探偵がホテルのある島を訪れたという。 曾祖母から唯一事情を打ち明けられていたひ孫のソノオは、同じ便でやってきた4人の宿泊客の中からフェンを探す探偵を見つけ出そうとする。(表題作) 探偵役が犯人をつきとめる推理小説の基本中の基本をあえて逆張りした
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林望「メイフェア劇場の亡霊」
NHKの英会話番組のテキストで連載されたという、イギリスがテーマのショートショート集。 そういう媒体だからか、ちょっと地味というかクラシカルな雰囲気。 大のイギリス贔屓の先生だけに、英語の原典があると思って問い合わせた人もいたというくらい、イギリスの空気を味わえる。 貴族から庶民まで、いい話も悲しい話も教訓めいたものも幽霊譚もありで、いい意味のお手軽感。 (2020年6月12日読了) #林望 #読書 #ショートショート
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有栖川有栖「濱地健三郎の霊(くしび)なる事件簿」
霊的なものを見たり、対話したりする能力を持った「心霊探偵」濱地(はまじ)健三郎の活躍する短編集。 本業のミステリの方は多作されている先生の、怪談ものはこれが3冊目とのことで、タイトルから怪談ミステリを期待したのだったけれど、殺人事件とかの道具だては登場しても、どちらかというと怪談寄り。 ミステリ的にはその手がかりの伏せ方はズルいのでは、となるところもあって、少し肩透かしかも。 漫画家志願からなぜか探偵に転じて助手になったという志摩ユリエが、濱地を手伝うなかで霊的な能力に目覚めていく成長譚でもあって、その意味での読みごたえはあり。 個人的に良かったのは最後の2編「霧氷館の亡霊」
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中山七里「セイレーンの懺悔」
駆け出しの報道キャスター、朝倉多香美は、先輩記者の里谷とともに、16才の女子高校生殺害事件を追う。 彼女を虐待していたクラスメイトたちの存在を突き止め、真犯人と信じてスクープを狙うのだったが、そのスクープは思わぬ波紋を呼ぶことに。 同じ作者の「切り裂きジャックの告白」とちょっとだけつながりあるんだけど、同作を読んでなくても読める。 皮肉屋で時に辛辣なことも言うけど、切れ者の報道屋で、含蓄のある忠告もしてくれる里谷のキャラがいい。 そんな彼や、マスコミ嫌いの宮藤(くどう)刑事らから、報道の理想と現実を教えられたり、突きつけられたりしながらの、多香美の成長が読みどころ。 そ
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芦辺拓「明治殺人法廷」
明治21年、大阪で発生した質屋一家惨殺事件。 唯一の出入口には施錠がなされ、現場は密室状態だったことから、当主の子である乳児の千代吉とともに、蔵に身を潜めて生きながらえたと称する堀越信(まこと)に嫌疑は向けられる。 若手代言人(弁護士)の迫丸孝平(さこまるこうへい)は、信の弁護を務めることになり、東京から流れてきた新聞記者の筑波新十郎とともに奔走する。 旧大日本帝国憲法発布前夜、明治の大阪が舞台の時代ミステリ。 維新から20年を経て、様々な制度、文明の利器を取り入れつつ、古くからの因習、旧弊も色濃く残り、各地での謀反や一揆の記憶も生々しく、薩長藩閥政府による横暴、在野の民権活動家
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竹内真「図書室のキリギリス」
学校の図書館司書が主人公。 校長が寄贈本にこめた謎かけであるとか、一身上の都合で辞職した前任者の行方探しなど、ジャンルとしては日常の謎系ミステリなんだけど、どちらかというと主人公の詩織の成長や、生徒たちとの交流なんかがメイン。 僕なんかは図書室の常連なくせに図書委員はやったことなくて、貸出業務以外の仕事ぶりも興味深いし、作中で名前が出てくる本にも興味がわく。 少し物悲しい展開になるところもあるけど全体にはほんわかした読み味で、本好き、図書館が好きな人には絶対おすすめ。 (2020年4月13日読了) #竹内真 #読書 #青春小説 #日常系ミステリ
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福田和代「東京ホロウアウト」
2020年7月、(作中では)東京五輪開幕式直前に、新聞社にテロ予告の電話が入る。 「東京都内を走るトラックで青酸ガスを発生させる」 やがて、言葉通り宅配会社の配送トラックの積み荷からガスが発生。 トラックドライバーの世良隆司(せらたかし)は、先輩ドライバーの浜口が事件に関与しているらしいと知り、仲間とともに彼の行方を追う。 「物流」がテーマのパニックサスペンス。 雑誌連載が2018年6月から19年12月というのに驚くくらい、鉄道、トンネル、高速道路と様々なルートを破壊され、物が届かなくなってしまった東京の描写は、2020年上四半期を体験した者には説明不要のリアルさ。 店に
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竹内真「廃墟戦隊ラフレンジャー」
とある映画会社の脚本家募集試験会場で再会した、家入(いえいり)と深見。 ふたりは学生時代、演劇サークルで「寸劇戦隊ラフレンジャー」を結成していた、イエローとブルーだった。 他のメンバーとも連絡を取り合い、旧交を温めるうち、レッドの発案でラフレンジャー再結成の話が動き出す。 タイトルと表紙絵から、もっとドタバタパロディめいたノリを予想したら、そういう要素もあるものの、かなりまっとうな(?)青春友情ストーリー。 メンバーたちが大学生だった2003年当時と、「現在」である2017年とが交互に描かれて、ラフレンジャー結成から解散までと、深い絆を再確認するまでが語られる。 ちょっと寂しい
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あめあがり
#grok #ChatGP #AI動画
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似鳥鶏「彼女の色に届くまで」
画廊の息子で自身も画家を目指す緑川礼(れい)は、高校一年生の時、謎めいた少女、千坂桜(ちさかさくら)と出会う。 ある事件がきっかけでその才能を知ることになった礼は、彼女を美術部へと誘い、さらにともに芸術大学へ進学することを勧める。 彼女の特異な性格に辟易しながらも惹かれ、その才能に嫉妬もしながら時を重ね、やがて画商と画家として世に出るのだったが。 絵画を題材にした連作ミステリ。 この作者にしては重めなプロローグに戸惑い、実際いつものようなコミカルさはややおさえ目ではあったのだけど、礼と桜の距離感がもどかしく、時にほろ苦くも、いい感じ。 ミステリとしてももちろん良いのだけど、むし
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エラリー・クイーン「境界の扉/日本カシドリの秘密」
日本育ちの人気女流作家、名誉ある文学賞を受賞したばかりだったカレン・リースが、日本風庭園を設えた自宅の寝室で突然の死を遂げる。 発見したのは婚約者、マクールア博士の娘、エヴァ。 彼女は隣室の居間でカレンを待っていたのだったが、寝室へ通じるドアを出入りした者はひとりもいなかった。 それは彼女自身を除いて、何人もカレンを殺害することは出来なかったことを意味していた。 その場に来合わせた私立探偵のテリー・リングの忠告に従い、エヴァは容疑を免れようとするのだが。 ながく「日本カシドリの謎」などと訳され、国名シリーズの10作目として扱われてきたいわくつきの作。 なぜそんな誤解が生じたか
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堂場瞬一「アナザーフェイス」
妻に先立たれ、まだ幼い息子のシングルファザーとなった刑事の大友鉄。 時間の都合のつきやすい刑事総務課に異動となっていたが、誘拐事件の発生で古巣の捜査一課に協力することに。 人気アイドルのコンサート会場という大観衆の中に紛れ、身代金を持ち去った犯人を追う。 話自体は割りとスタンダードな警察もの。 コンサート会場になった東京ドームで身代金受け渡しを行うという、そこだけド派手だけど、後はファンクラブ会員名簿を人海戦術でしらみつぶしにしたりと、地味というか堅実な捜査が描かれる。 ただ主人公の大友の人物像がなかなか独特。 学生時代、演劇に入れ込んでいた経験から、眼鏡など小道具を使っ
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今村昌弘「屍人荘の殺人」
神港大学ミステリ愛好会のふたりきりの会員、明智恭介と葉村譲は、これまで様々な事件に関わり解決してきたという、剣崎比留子からある取引をもちかけられる。 短編映画の撮影のためペンション紫湛荘(しじんそう)を訪れる映画研究会の夏合宿に、彼女とともに加わって欲しいというものだった。 前年の参加者が自殺したといういわくつきの合宿には明智が元々関心を寄せており、さらにその非を鳴らすような脅迫状まで舞い込んだという話に、ふたりは比留子との取引に応じる。 そうして訪れたペンションをウィルステロにより理性を失い、さながらゾンビのようになった被害者たちが群れをなして襲撃、合宿参加者たちは籠城を余儀な
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中山七里「ハーメルンの誘拐魔」
ワクチン接種の副反応による記憶障害を患う少女が消息を絶ち、現場には「ハーメルンの笛吹き男」を描いた絵葉書が残されていた。 母親が闘病ブログの中で反ワクチンの主張をくりひろげていたことから、犬養はその面からの動機を疑う。 その矢先、産婦人科協会会長の娘が同様の形で誘拐され、さらにワクチン禍の被害者5名が集団で連れ去られる。 やがて届いた犯人からの声明文は、厚労省や産婦人科協会、製薬会社のワクチン事業を糾弾するものだった。 臓器移植、安楽死など、現実的な医療問題を描く犬養刑事シリーズの3作目。 僕は病気が出てくる話はかなり苦手な方で、そうでなくてもこんな時に読むにはきついところ
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有栖川有栖「日本扇の謎」
着の身着のまま、一本の扇だけを持って砂浜で発見された男性。 記憶を失い、自分が何者かも思い出せないというが、唯一の所持品だったその扇が手がかりとなって身元が判明する。 19才で出奔し、6年半の間消息不明だったさる日本画家の孫、武光颯一(たけみつそういち)。 生家に戻りまずは平穏な生活を送っていたはずだったが、その武光家で密室殺人事件が発生。 遺体の発見現場は颯一の寝起きしていた離れであり、時を同じくして颯一は再び行方をくらませてしまう。 火村英生の国名シリーズ11作目、作者のあとがきによれば「第2シーズン1作目」を意図した作とのこと。 海辺の町にあらわれた記憶喪失の青年と、彼
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太田忠司「金木犀の徵/探偵・藤森涼子の事件簿」
かなり好きで数も読んでるはずの作家さんなんだけど、デビュー間もない頃から20年以上書き続けているという、この藤森涼子のシリーズは、僕はこれが初読。 別の作品にゲスト的に登場していたのを読んだことはあったのだけど。 これだけでも読めるのはもちろんだけど、それだけの長寿シリーズだけあって、主人公のこれまでのことを知らないとちょっとピンと来ないところも。 短編三編収録で、どれも味わいのある佳作。 人探しの依頼が過去の事件を掘り返すことになる表題作が良かった。 話が駆け足に感じるところもあるけれど、3時間強で読み終われるいい意味のお手軽感。 (2020年4月26日読了)
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似鳥鶏「昨日まで不思議の校舎」
超常現象研究会の機関誌が「市立高校七不思議」を特集、生徒たちの間でささやかな話題になって数日。 校内で七不思議に見立てられた事件が続けて起こる。 脚のない幽霊「カシマレイコ」を呼び出す校内放送。 「口避け女」による犯行になぞらえられた器物損壊。 用務員室には「トイレの花子さん」の持ち物とされる人形が届けられる。 三つの事件はつながりがあるのか、なぜ七不思議のうちそのみっつが選ばれたのか。 なりゆきと好奇心から柳瀬沙織とともに調査に乗り出した葉山だったが、やがて行き詰まり、卒業生で在校中からいくつもの事件を解決してきた伊神恒(いがみこう)を頼る。 この作者のデビュー作「理由あ
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レイモンド・クーリー「テンプル騎士団の聖戦」
「テンプル騎士団の古文書」の続編。 西暦1207年、陥落間近のコンスタンティノープルから、テンプル騎士団員によってある重大な秘宝が運び出された。 1310年、騎士団の生き残り、コンラッドは秘宝のありかを知り、その力で滅亡の淵にある騎士団を救おうとする。 そして現代。 考古学者の恋人、テスを人質にとられたFBI捜査官のライリーは、彼女の身と引き換えにヴァチカンの文書庫からテンプル騎士団の記録簿を持ち出すことを要求される。 誘拐犯のザーヘドに記録簿を渡し、テスも救出したライリーは彼女とともに、キリスト教世界を根底から揺るがそうというテンプル騎士団の秘密にからむ陰謀を追う。
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逸木裕「空想クラブ」
吉見駿には、宮古島の祖父から受け継いだ遠く離れたものを見ることのできる能力がある。 好奇心旺盛なクラスメイト、久坂真夜(まや)がその能力に関心をもったことがきっかけで、同じように彼に興味を示す者たちが集まり、「空想クラブ」と名付けた交流が生まれるが、ある事件がきっかけで彼らは次第に疎遠になってゆく。 中学2年生になった駿は、真夜が冬の川に落ちて亡くなったことを知る。 その現場となった川原へ赴いた彼は、その能力のためになのか、死んだはずの真夜と再会、言葉も交わす。 死の直前、真夜は川で溺れる子供に助けを求められ、救助のために川に入ったのだという。 その子供がその後どうなったの
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長沢樹「幻痛は鏡の中を交錯する希望」
第二次大戦後、南北分断を経験し、大地震や核爆発テロを経て、東京に「特別自治区」が存在している、パラレルワールドの日本。 思いもかけぬなりゆきで殺人罪を着せられ無期懲役を下された秋島智士(さとし)は、裏でその才能を買われ、諜報員養成施設へと送り込まれる。 2年後、伊神彬(いがみあきら)と名を変えた彼は、任官前の最終試験のため、特例区に存在する映像専門学校へ入学。 同期生の中には、同じように最終試験に臨む養成員も、まったく違う思惑を秘めた者もおり、誰が敵か味方かもさだかでないなか、何者かの意図が彼らをからめとっていく。 専門用語続出な上、話が複雑に入り組んでいて、このあらすじ紹介
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