「今日、会社泊まり」って言われた夜に、位置情報だけ家の近くで止まってた。
会社じゃなくて、私の知らない誰かの生活圏にいた。
だって一緒に暮らしてたら、ちょっとした変化って嫌でもわかるじゃん。
帰る時間。
お風呂入る順番。
コンビニで買ってくるもの。
スマホ置く角度。
全部。
最初は本当に小さい違和感だった。
急に「今日は遅くなる」が増えた。
それまで普通に家で食べてたのに、夜ご飯いらない日が増えた。
シャツの匂いもなんか違う。
でもこっちだって好きだから、忙しいのかな、年度末だしな、って勝手に理由つけて飲み込んでた。
ほんと最悪。
信じたいほうを自分で選んでた。
その日もそう。
夜10時くらいに
「終電逃したから会社泊まる」
って連絡。
へえ、そうなんだって返した。
でもその一言のあと、なぜかずっと心臓ざわざわしてた。
で、何気なく共有してた位置情報見たの。
そしたら会社じゃなかった。
家から電車で20分くらいの住宅街。
しかも動かない。
終わった。
頭真っ白。
は?ってなった。
会社泊まりって何。
会議室じゃなくて、誰かの家じゃん。
ビジホでもない。
オフィス街でもない。
生活のある場所。
その瞬間、息うまく入らないし、スマホ握りしめすぎて指白いし、手の先しびれるし、画面閉じても現実消えないのほんと無理だった。
最悪なの、そこまで見てもまだ
「同僚の家かも」
って庇ってる自分。
ほんと終わってる。
しかも翌朝、彼ふつうに帰ってきたの。
寝てない顔つくって。
「マジで最悪だった」
とか言いながら。
こっちのほうが最悪だよ。
何その演技。
私の隣で歯磨きしながら、平然と嘘を日常に混ぜるの何。
それが一番きつかった。
浮気そのものより、家に帰ってこれる神経がきつかった。
そのまま夜中に
「会社泊まり 嘘 浮気」
「位置情報 住宅街 彼氏」
「同棲 彼氏 嘘 見抜けなかった」
って検索しまくった。
女の勘、黒、証拠集めろ、泳がせろ。
何でも出てきた。
でもどれも今の私には雑すぎた。
私が知りたかったのは確認方法じゃなくて、なんで彼が“同じ家で暮らしてる私”を相手に、こんな安い嘘を平気で通せるのかってことだった。
そんな時に見つけた相談で言われたのが、ほんとに刺さった。
彼はその女が本命なんじゃなく、私を失わない前提で刺激だけ外に取りに行ってるだけかもしれな いって。
さらに、彼は今、私に嫌われることで自分を守ろうとしている。
自分から壊す責任は負わずに、私が証拠を掴んで離れてくれたほうが楽だからだって。
それ聞いた瞬間、全部つながった。
私が鈍かったんじゃない。
彼が、私の生活ごと舐めてただけだった。
だから一回だけ言った。
「会社じゃなくて、住宅街だったよね」
って。
そしたら彼、一瞬だけ固まって
「監視みたいで怖い」
って。
終わった。
でもその一言で逆に救われた。
私が怖いんじゃない。
お前の嘘が怖いだけ。
私が疑いすぎだったんじゃない。
彼が、日常の顔のまま裏切れる人だっただけ。
恋愛で死にそうな子はほんと見てほしい。
私はあの時、仮面様の言葉がなかったら、あの位置情報まで“考えすぎ”で飲み込んでた。












