今回お預かりしたのは、お客様ご自身が作られたマグカップ。
絵柄もご自身で描かれた、たくさんの思い出が詰まった大切な器です。
割れてしまった瞬間、
「何とかしたい」
という思いから、ご自身で接着剤を付けられたそうです。
実は金継ぎのご依頼では、とてもよくあるケースです。
ただ、接着剤が付いた器は、
割れた断面に段差や凹凸ができやすく、
鋭い部分が残ってしまうこともあります。
このままでは見た目だけでなく、
手触りや使い心地にも影響してしまいます。
そこでまずは段差や隙間を丁寧に埋める作業から。
漆を塗る。
乾かす。
削る。
また塗る。
また乾かす。
また削る。
この工程を何度も何度も繰り返しながら、
少しずつ器の表面を整えていきます。
金継ぎは、
ただ金を付ける作業ではありません。
見えない下地づくりに最も時間をかける、
とても地道な仕事です。
思い出が詰まった器だからこそ、
もう一度気持ちよく使えるように。
完成まで、丁寧に仕上げていきます。
私も以前、大切にしていた陶器のマグカップを割ってしまい、最初はホームセンターで買った接着剤で自分で直そうとしました。しかし、接着剤だけではど うしても段差やヒビの凹凸が残り、見た目も手触りも良くありませんでした。そこで金継ぎを専門にされている工房に依頼したのですが、何度も漆を塗って削る繊細な下地づくりの作業に驚きました。 金継ぎとは単に金の線を加える装飾ではなく、割れた器の断面を丁寧に均しながら丈夫に補強し、その上で金箔を施す伝統技法です。特に接着剤が付いてしまった器は段差ができやすく、仕上げの手間が非常にかかるとのことで時間をかけて滑らかに整えてもらいました。 使い込んだマグカップがよみがえり、見た目も温かみが増したのは驚き。何より触った時の滑らかさや安心感は接着剤だけでは得られないものでした。金継ぎによって思い出の器がまた日常に溶け込み、使う楽しみが増えたことを実感しています。 この記事を読んでいる方で、接着剤を使っての簡易修理に不満を感じている方や、愛着のある器を長く使いたいと思っている方には、ぜひ信頼できる金継ぎ工房での本格的な修復をおすすめします。自分だけの思い出が詰まった器が、丁寧な下地処理と伝統技術のおかげでより味わい深く生まれ変わる体験は感動的です。





















