「美しい」だけで終わらない、明治の画壇を揺るがした一枚。
1912(明治45)年に発表され、当時の画壇に大きな賛否と衝撃を巻き起こした北野恒富の記念碑的傑作『浴後』 本作は、それまでの型に沿った伝統的な美人画の常識を打ち破り、のちに「恒富風」と称される独自のデカダン(頽廃的)で濃厚な情感を決定づけた代表作です。 最大の特徴は、湯上がりの気怠い空気感の中に漂う、生々しいまでのリアルな肉体美にあります。 はだけた浴衣から覗く白く上気した肌、物憂げに視線を落とす表情、そして無防備に重ねられた両手や縁側に投げ出された裸足。 恒富はここに、 西洋画的な陰影表現や卓越した写実性を取り入れることで、従来の平面的な美人画にはない「ひとりの人間