“見えない留め”のサファイアリングと、届かなかった想い
手元には指輪をいくつも作れるほどのサファイアがあり、その一部を使って特別な注文品を制作しました。インビジブルセッティングで仕立てたサファイアリングです。これは、若い女性がお父様の誕生日のために、長い時間コツコツと貯めたお金で依頼してくれた贈り物でした。彼女は、力強く輝き、思い出として心に残る指輪を望んでいました。その想いに応えるため、私は何日もかけて細部まで魂を込めて制作しました。しかし完成間近になって、彼女からキャンセルの連絡が届きます。理由は「有名な海外ブランドの方が格上だ」と周囲に言われたからでした。責める気持ちはありません。ただ、手仕事のジュエリーには職人の魂と温もりが宿ると、私は信