メゾン金継ぎ銀座でお預かりした、静かな余白が美しい九谷焼のそば猪口。
あえて彩りを抑えた白と黒の世界に、割れをなぞる一筋の金がそっと灯るように入りました。
欠けやひびは隠すのではなく、「物語」としてそのまま生かしています。
光の角度によって金がふっと浮かび上がり、何気ない一瞬の手さえも、特別な景色に変えてくれるようなうつわです。
控えめな絵付けだからこそ、金継ぎのラインがより際立ち、凛とした存在感を放ちます。
「壊れてしまったから、もう終わり」ではなく、「直したからこそ、前よりも美しい」一そんな金継ぎの魅力を、このそば猪口で感じていただけたらうれしいです。
九谷焼を金継ぎに出すとき、私は最初に「裏印(高台の刻印)」をチェックしました。裏印が分かると、だいたいの年代感や窯元・シリーズの手がかりになって、修理の相談もしやすくなるからです。ネットで「九谷焼 裏印 一覧」を見ても候補が多いので、闇雲に探すより“絞り込みのコツ”を押さえるのが近道でした。 まず、裏印は一度きれいにしてから観察します。食器用中性洗剤で軽く洗い、完全に乾かしてから光に当てると、薄い印が浮きやすいです。次にスマホで撮影。おすすめは(1)自然光の斜め当て、(2)影が出る角度を変えながら数枚、(3)ピントは刻印面に固定、の3点。印が薄い場合は、スマホの「露出を下げる」「モノクロ」などの編集で見えやすくなることがありました。 裏印を調べるときは、文字だけでなく「色」「形」「配置」もメモすると比較が楽です。たとえば「九谷」「九谷製」などの文字、赤一色なのか金が入るのか、角印なのか丸印なのか。さらに、器の特徴(そば猪口の口縁の厚み、釉薬の白さ、絵付けが控えめな黒の線など)も一緒に記録しておくと、一覧ページで似た印に当たったときに判断材料になります。 ちなみに、ミッフィー九谷焼のようなキャラクターコラボ系は、裏印がブランド名・製造元表記になっていることも多い印象でした。作家もの(上野愛奈さんのカップのように作家名が入るタイプ)だと、サイン風で読みにくいこともあるので、拡大写真は必須です。読めない場合は、無理に断定せず「候補」をいくつか持っておくのが安全だと感じました。 金継ぎの相談時には、(1)表面全体、(2)欠け・ひびのアップ、(3)裏印、(4)サイズ感(手に持った写真やメジャー)を送ると話が早いです。私が預けた九谷焼のそば猪口は、白と黒の静かな余白があるぶん、金継ぎのラインが主役になりやすいタイプでした。仕上げの金が光の角度でふっと浮かぶので、日常使いでも「直したからこそ前より美しい」を実感しやすい器だと思います。 裏印調べは時間がかかりがちですが、写真とメモを整えてから一覧に当たるだけで、かなりスムーズになります。金継ぎに出す前のひと手間として、ぜひ試してみてください。



































