金を蒔く前の大切な工程。
漆で一本一本の線を描いていきます。
この時に使うのは、蒔絵用の筆。
猫の毛で作られた筆は毛先が美しくまとまり、しなやかで長い線を描くことができます。
実は金継ぎは、技術だけではありません。
どの漆を使うのか。
どの筆を選ぶのか。
どのように線を描くのか。
その一つひとつの選択が、最終的な仕上がりを大きく左右します。
職人の世界では、良い仕事は良い道具から生まれると言われます。
何百年も受け継がれてきた日本の伝統工芸には、技術だけでなく、道具への敬意や先人たちの知恵が息づいています。
私が学ぶ輪島の伝統技法でも、 道具を大切にし、その特性を理解しながら仕事を進めていきます。
そして私が大切にしているのは、
「器が主役であり、金は添えるもの」
という考え方です。
だからこそ金を蒔く前の一本の線を丁寧に描き、その器が持つ美しさを引き立てることを心がけています。
金を蒔く前の静かな時間。
日本の伝統工芸が受け継いできた職人の手仕事を、ぜひご覧ください。
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私自身も金継ぎを学ぶ中で感じたのは、単に技術を 身につけるだけではなく、その根底にある道具へのこだわりと敬意がいかに大切かということです。 蒔絵に使われる筆は猫の毛でできており、その繊細さと弾力が一本の線の質を大きく変化させます。私が初めてこの筆を使ったとき、しなやかな毛先が漆を滑らかに運び、美しい曲線を描けることに驚きました。こうした道具は一朝一夕で手に入るものではなく、長年の経験と試行錯誤を経て選ばれます。 また、私が最も意識しているのは「器が主役であり、金は添えるもの」という考え方です。これは、修復であって装飾ではないという哲学であり、器の形や色合い、持ち主の思いを尊重することにつながっています。だからこそ、金を蒔く前の一本の線を描く時間は静寂の中の大切な瞬間となります。 輪島塗をはじめとする伝統工芸の背景を知ると、職人たちが使う道具への感謝の念や、先人から受け継がれた技術がいかに作品に宿っているかが理解できます。自身で金継ぎを手がけて初めて見えてくる日本の美意識と職人技を、多くの方に実感してほしいと願っています。










































