深夜、動画の学校の受講生Kから連絡が届いた。屋外の企業イベントで中継車とステージを結ぶ距離が150メートルを超え、本番直前に映像へノイズが走り出したという。
配線を確認すると使っていたのは12G-SDIケーブルだった。SDI伝送は電気信号をそのままケーブルへ流し込む方式であり、周波数が上がるほど銅線内の高周波成分は急激に減衰する。Belden社の実測値では、12G-SDIの伝送距離はおよそ93メートルが上限の目安だ。150メートルという距離は、規格が保証する範囲をとうに超えていた。
これは施工の腕やケーブルの品質の問題ではない。周波数と距離が反比例する、物理そのものの制約だ。私はKに、距離を伸ばしたいなら発想を変え、電気信号ではなくデータをパケット化して送るIP伝送を選ぶべきだと伝えた。単一モード光ファイバーであれば無中継で100キロメートル以上届く。
その場で光ファイバーへの切り替えを決め、翌週の本番は何事もなく終わった。93メートルで止まる世界と、100キロメートルまで届く世界。その差を知っているかどうかが、現場の余裕を分ける。
IP伝送の基礎知識(ビギナー向け)
https://note.com/videolife/n/n34b596dd3bca































