【信じてくれる誰かがいること】
#原田ひ香 さん
満足度 ★★★ 3.5
読みやすさ ★★★★
原田ひ香さんの作品が読みたくなり、サクッと読めそうなこちらの一冊を手に取りました📚
——内容をザクっと——
不倫の末に傷害事件を起こし、謹慎中のりり子叔母さんと、就活に失敗しアルバイト生活を送る瑞希。あふれるブランド品や食器、着物をネットオークションに出品することをきっかけに、二人の距離は次第に縮まっていく。そして、あの事件の真相も少しずつ明らかになっていく——。
「人生オークション」というタイトル の通り、モノを売る話でありながら、どこか「人生そのものを見つめ直す」ような物語だった。
オークションのノウハウも細かく描かれていて面白いし、やっぱり原田ひ香さんは“お金”や“生活”と密接に結びついた物語が上手いなと改めて思った。
最初は、「不倫の末に刃傷沙汰を起こした叔母」と聞いて、瑞希と同じようにどこか距離を取ってしまう。
でも、一緒にいるうちに、「本当にそんなことをする人なのか?」という違和感が少しずつ積み重なっていくのが印象的だった。
「他のものじやダメ、これじゃなくちゃダメ、そんなふうに思ったことが私には一度でもあるだろうか。」
「人を傷つけるほど好きになって、それでどうなるの、と思う。だけど、その一方で恋だけの問題じゃないということも分かっている。」
「怒らせたり困らせたりすることは一瞬でできるけど、人に許してもらうには時間がかかるんだよ、たぶん」
※ここから少しネタバレあり⚠️
事件の真相を知ったとき、“やったこと”ではなく“やったと思われていること”で人が判断されてしまう怖さを感じた。
「やりかねない」と思われることと、実際に「やった」ことは全く別なのに、その境界はこんなにも簡単に曖昧になるのか、と。そして何より、家族に信じてもらえなかったりり子さんがとても可哀想な気持ちになりました。
どんな状況でも、たった一人でも味方がいれば、人の人生は少し違う方向に進めるのかもしれない。
収録されているもう一編「あめよび」も印象的でした。眼鏡屋さんの美子とラジオのハガキ職人の輝男。どちらも周りにいないので、とても新鮮でした。
物語に“諱(いみな)”が出てくる。結婚した相手にだけ教える本当の名前。ただ、個人的には、諱を知りたいがために、輝男の秘密を軽く扱うような行動や、嘘をついてまで踏み込もうとする感じには少し引っかかってしまった😞
最後に二人が再会したとき、すでに別々の人生を歩んでいるのに、輝男は、美子に諱を教える。
あれは「まだ愛していた」ということなのか、
それとも「過去に区切りをつけるため」だったのか答えがはっきりしないからこそ、余韻が残る終わり方だった。解説を読んで、そうなのかもしれないなと考えさせられる一文があった。
【心に残った言葉】
「ある世界では、実際にやったことより、やったと思われていることの方が重要だったりするんです」
“信じること”と“思い込み”のあいだ。その曖昧さを考えさせられる一冊でした。
原田ひ香さん、また別の作品も読んでみたい📚










