本番7分前、動画の学校の受講生Aさんが青い顔で駆け込んできた。「サブカメラの映像が、一瞬だけ、たまに消えるんです」と。ログにエラーは残らない。ケーブルを挿し直すと直る——ように見える。だがまた消える。
私はプラグの爪を1本ずつ見てもらった。1つ、割れていた。たったそれだけで、コネクターは筐体の中で0.1mm動く。IP映像では、接点が10マイクロ秒——1秒の10万分の1——離れるだけで、1Gbpsなら約1万ビットが消し飛ぶ。それが画面では「消失」として現れる。
Aさんは黙って爪の割れたプラグを交換した。本番、映像は一度も飛ばなかった。「見る場所さえ知っていれば、こんなに単純だったなんて」と彼女は笑った。そう、単純なのだ。中身を知っていれば。
あの「カチッ」の一瞬に、これだけの工学が詰まっている。
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