お米の一生を決める「苗代」での3週間
【皆様からの質問にお答え!お米の赤ちゃんを守る「苗代」の秘密】会長が語る、美味しいお米を育てる「苗代」の知恵。
「苗代(なわしろ)」って聞くと難しそうですが、私の感覚だと“田植え前に稲の赤ちゃんを一気に丈夫にする、短期集中の育苗ステージ”です。ここを丁寧にやると、その後の田んぼでの立ち上がりが全然違うので、毎年いちばん気を使う期間でもあります。 まず、苗を苗代に「並べる理由」。一番大きいのは、水管理と日光(温度)のコントロールをしやすくするためです。箱苗を整然と並べると、どこが乾きやすいか、逆に水が溜まりすぎているかが見てすぐ分かります。育苗は“ムラが敵”なので、並べ方ひとつで仕上がりが揃いやすくなります。 次に水やり。苗代でよく言われるのが「水を途切れさせない」。稲は“水稲”という名前の通り、水がある環境で落ち着いて育ちます。私も最初は「乾かし気味のほうが根が張るのでは?」と思っていましたが、苗の時期は特に、極端に乾くと一気に弱ります。プール状(浅く水を張る)にしておくと、忙しい日でも水切れしにくく安心です。 一方で注意したいのが、直射日光と高温。晴れが続くと、箱の表面温度が上がって“苗が焼ける”ことがあります。そこで役立つのが黒いネット=寒冷紗(かんれいしゃ)。これは、日差しを和らげるだけじゃなく、鳥が種をつついてしまう被害を防ぐ意味も大きいです。私の経験でも、芽が小さいうちは特に狙われやすいので、寒冷紗をかけておくだけで安心感が違います。 「スプリンクラーは使わないの?」という疑問も多いですが、考え方は現場次第です。連続して安定的に散水できるなら便利。ただ、風が強い日や気温が高い日はムラが出たり、乾きやすい場所ができたりもします。プール育苗は手間が減る反面、水が溜まりすぎると酸素不足になりやすいので、浅水で様子を見ながら調整するのがコツだと感じています。 最後にスケジュール感。目安としては、種まき後1週間ほどで苗代に並べ、そこから約2週間で田植えできる大きさに。つまり種まきから約20日前後で田植え、というイメージです。葉色が薄い・伸びすぎる・根が弱いなどのサインが出たら、日当たり・水位・寒冷紗のかけ方を見直すと改善しやすいです。 苗代の3週間は短いですが、ここで「水管理・日光・寒冷紗」の3点を押さえるだけで、力強い苗に育ちやすくなります。田植え前の“準備期間”こそ、いちばん差が出るな…と毎年実感しています。






